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国語のワンポイント講座 小説(物語文)の読み方

こんにちは!

塾長の陀安です。

 

今日は「小説(物語文)」の読み方についてお伝えします。

 

「小説(物語文)」とは、架空の物語のことです。

 

「評論・随筆」が、現実世界の事柄に関する筆者の意見や感想を示したものであるのに対して、「小説(物語文)」は完全なフィクション(虚構のストーリー)です。

 

 

先日ご紹介した「評論・随筆」の読み方とは大きく異なります。ポイントは3つです。


 

①だれの心情か、だれの行動かを把握する。

 

小説には登場人物がいます。主人公が一人だけ登場する小説もあれば、複数の人物が登場する小説もあります。

 

小説の記述の中心は、多くの場合、心情描写と行動描写です。

 

心情描写とは「どういう気持ちだったか」、つまりその人物の内面の描写です。

 

行動描写とは「何をしたか」、つまりその人物の行動や態度の描写です。

 

主人公が一人だけ登場する小説であれば問題ないですが、複数の登場人物がいる場合、「だれの心情か」「だれの行動か」を明確に区別してください。

 

 

②心情を表す文章表現に線を引き、心情の変化をつかむ。

 

心情とは「どういう気持ちだったか」ということです。心情を表す表現を見つけて線を引きましょう。

 

ただし、小説では「うれしかった」「悲しかった」等の直接的な心情表現になっているとは限りません。

 

小説では、人物の行動や態度を描写することで、間接的にその人物の心情を表現する場合があります。

 

たとえば「母の訃報を聞いて太郎は静かに目を閉じた」という行動描写があったとします。そこには、母の死を知ったときの太郎の心情が表現されているはずです。

 

それがどういう心情なのかは前後の文脈から判断しなければなりません。まずは太郎の心情が表現されている部分であることをはっきりさせるために「静かに目を閉じた」の部分に線を引いておきましょう。

 

また、小説では人物のセリフを通して心情を表現することもあります。

 

たとえば、母の訃報に接した太郎が「母はどんな顔をしていましたか」と相手に聞いたという記述があったとします。

 

その言葉には太郎の心情が表れているはずです。それは直接的には、母親の最期がどうであったかを気にする太郎の心情です。

 

しかし母親と不仲だったのであれば、そのセリフには、母親との関係を後悔する気持ちが間接的に含まれているかもしれません。これも前後の文脈で判断する必要がありますが、とにかく太郎の心情が表れているセリフとして線を引いておきます。

 

小説にはさまざまな種類があります。奇想天外な物語が展開するSF小説や、犯人探しをする探偵小説もあります。

 

一方、国語の問題文で使用されるのは、たいてい、ごく普通の人物の日常の出来事を描いた小説です。そういう小説では大きな事件はあまり起こりませんが、人物の心情が丁寧に描かれています。

 

小説の設問は、そのほとんどが人物の心情に関するものです。小説を読むときは、登場人物の心情とその変化に注意することがとても大事なのです。


 

③場面の変化で区切る。

 

小説は必ず場面に分けて書かれています。

 

場面とは、時の変化、場所の変化、状況の変化、人物の登場・退場等によって決まるワンシーンのことで、小説はいくつかの場面の組み合わせで構成されています。

 

場面の違いに注意し、どこからどこまでが一つの場面かを認識することが重要です。

 

たとえば、小説では突然、過去の出来事の回想が始まることがあります。その場合、回想の始まりによって場面が変化したことを認識し、現在時の記述部分と区別して読む必要があります。

 

小説を読むときは、どこで場面が変化するかを考えながら読み、場面の区切りに印をつけるようにしてください。

 

場面の変化は、形式段落に対応しているわけではありません。形式段落とは一段下げて書いてある文章のまとまりのことですが、小説の場合、段落の区切り方は書き手によってさまざまです。

 

こまめに段落を区切る人もいれば、あまり段落を分けない人もいます。これは書き手の癖にすぎないため、小説では形式段落の区切りにあまり意味はありません。これは「評論・随筆」との違いです。段落にこだわらず、場面の違いで区切って読むようにしてください。

 

 

以上のことに注意して小説を読むようにしてください。これらが設問について考える際の前提になります。設問を解く前に、このような作業をしておくことが重要です。

 

今日も最後までお読みいただき、ありがとうございました。

次回は設問の解き方についてお伝えします。